査定額の計算方法のコラムで簡単に触れた「幽霊物件」について、もう少し詳しく説明します。公表データをそのまま集計に使うと、実際には存在しない規模の発電所が統計上に現れてしまうことがあります。原因の多くは、パネル出力の入力欄にワット(W)の数値がキロワット(kW)としてそのまま登録されてしまう、単純な入力ミスです。
なぜ1000倍の差が生まれるのか
太陽光設備の出力は本来キロワット(kW)単位で登録します。ところが元になる申請・登録の過程で、ワット(W)単位の数値がそのままキロワット欄に入ってしまうと、表示上の出力は実態のおよそ1000倍に膨らみます。低圧の10〜50kW程度の設備が、データ上は数万kW=メガワット級の設備として記録されてしまう、という具合です。件数としては全体のごく一部(数百件規模)ですが、1件でも金額換算すると数千億円規模の「幽霊の価値」が生まれてしまうため、放置できません。
どうやって見つけるか
個々の申請内容を目視で確認することはできないため、サンムーブは過積載率(パネル出力÷パワーコンディショナ出力)とパネル枚数から機械的に異常を検出しています。実在する設備であれば、パネル枚数から算出できる出力とパワコン容量の比率はおおむね妥当な範囲(1.0〜3倍程度)に収まります。ところが入力ミスがある設備は、この比率が現実にはあり得ない水準になったり、パネル枚数に対して出力が桁違いに大きくなったりするため、統計的な外れ値として浮かび上がります。
補正後はどう扱われるか
異常が検出された設備は、パネル枚数など整合の取れる項目から出力を推定し直すか、査定・集計の対象から除外します。推測で「それらしい数字」を当てはめて済ませるのではなく、不確実な値は集計に混ぜないという方針です。中立な市場インフラとして、実態のない数字が相場観を歪めることを避けるための、地味だが欠かせない作業です。
なぜこの作業が信頼性を支えるのか
こうした補正を経たうえで、サンムーブの推定年間売電収入を全国で足し上げると、国が公表する買取費用の規模とおおむね整合します(→査定額はどうやって出している?)。個々の設備の推定にブレがあっても、全体として現実の数字と大きく乖離しないことを確認しながら運用しています。
※本ページで述べた検出・補正の考え方は、公表データの統計的なクレンジング手法の一般的な説明であり、個別の設備・入力ミスの有無を特定するものではありません。査定額・推定価値は引き続き統計的な推定値であり、取引価格を保証するものではありません。
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