これまでの月次差分の回では、所有者移転や代表者交代など「事業者の変化」を中心に見てきました。今回は同じ差分データから、見落とされがちな2つの区分——「新規認定」と「運転開始」——の関係を掘り下げます。
「新規認定」と「運転開始」はどう違うか
サンムーブの月次差分では、その月に新たに事業計画認定を取得した設備を「新規認定」、認定済みの設備が実際に売電を開始したタイミングを「運転開始」として、それぞれ機械的に検出しています。制度の流れとしては、まず認定を取得し、その後に工事・系統連系を経て運転開始に至るため、直感的には両者は近い件数で推移しそうに思えます。
実数:運転開始が新規認定を上回る
直近の月次差分(2026年5月→6月)を見ると、次の通りです。
- 新規認定:280件
- 運転開始:322件
同じ月に、新たに認定を受けた件数(280件)よりも、運転開始した件数(322件)の方が42件・約15%多いという結果です。「今月認定された設備が、今月中に運転開始する」という単純な対応関係であれば両者は近い数字になるはずですが、実際にはズレが生じています。
なぜ運転開始の方が多いのか
これは、今月「運転開始」した設備の多くが今月ではなく過去に認定を受けていた設備だからだと考えられます。認定から実際の運転開始までは、土地造成・機器調達・電力会社との系統連系協議など、数か月から数年単位の準備期間を要するのが一般的です。つまり今月の運転開始件数(322件)は過去の認定ストックの中から今月ようやく稼働に至った案件の集まりであり、今月の新規認定(280件)とは直接対応していません。
この差分が示す「滞留」の存在
新規認定と運転開始の件数差は、認定を受けたもののまだ運転開始に至っていない「未稼働ストック」が市場に一定量存在することを示唆します。実際、以前の「認定はあるが稼働していない」設備の回で紹介したとおり、全国で4,038件の非稼働設備が確認されています。今月の運転開始322件は、こうした滞留案件の一部が消化された結果とも解釈でき、認定から稼働までのタイムラグの実態を月次の実数から間接的に確認できます。
この数字が示すこと・示さないこと
この比較は単月(2026年5月→6月)の件数差に基づく傾向であり、個々の設備がいつ認定を受け、いつ運転開始したかを1件ずつ突き合わせたものではありません。したがって「42件が滞留案件の消化」と断定することはできず、あくまで新規認定と運転開始のペースにズレがあるという傾向を示す目安として読むのが安全です。季節性や複数月にわたる傾向までは、今回のデータでは確認できません。
※本ページの件数は、資源エネルギー庁「事業計画認定情報」の月次差分(2026年5月→6月)に基づく集計の実数です。査定額・収益予測は公表データに基づく推定値であり、実際の取引価格を保証するものではありません。
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