中古太陽光を規模で比べるとき、「低圧(10〜50kW未満)と高圧(50kW〜2MW未満)、どちらが実質的にお得か」という疑問はよく出てきます。出力区分の違いそのものは制度上の線引きですが、この線引きの前後でコストの構造が変わるため、表面利回りが同じ水準に見えても実質利回り(NOI)には差が生まれやすくなります。
高圧で新たに発生する固定費
50kWを超えて高圧に区分されると、電気主任技術者の選任(外部委託を含む)やキュービクル式受変電設備の設置・定期点検が必要になります。これらは出力規模にほぼ関係なく発生する固定費的なコストで、高圧の中でも規模が小さめの設備ほど、出力1kWあたりの負担は相対的に重くなります。逆に、同じ高圧区分の中でも出力が大きくなるほど、この固定費は分母(kW)で薄まり、O&M単価(円/kW)は下がっていく傾向があります。
低圧に効くコスト構造
低圧はキュービクルや電気主任技術者の選任が不要な分、この種の固定費は基本的にかかりません。一方で、遠隔監視・保守点検といったO&M自体は低圧でも必要で、1件あたりの基本的な点検費用は出力規模にあまり連動しないため、小規模な低圧設備ほど出力1kWあたりのO&M負担は相対的に重くなりやすい構造があります。つまり「高圧は固定費が重い」「低圧はO&M単価が相対的に重い」という、それぞれ別種の固定費的コストを抱えているのが実態に近いイメージです。
試算イメージ(仮定に基づく例)
実際の水準は設備・地域・委託先によって幅がありますが、コスト構造の効き方を掴むための仮定例を示します(以下はあくまで一般的な仮定に基づく試算イメージであり、実データの集計値ではありません)。
- 低圧(10〜50kW未満):O&M単価(円/kW・年)は相対的に高め。保安管理費用は不要
- 高圧・小規模帯(50〜200kW程度):O&M単価は低圧よりやや改善するが、保安管理・キュービクル点検費が新たに乗る
- 高圧・大規模帯(1MW前後〜):固定費がkWで薄まり、O&M単価・保安管理費とも1kWあたりでは最も軽くなりやすい
この仮定に沿うと、実質利回りは「低圧」と「高圧・大規模帯」でそれぞれ相対的に有利になりやすく、その中間にあたる高圧の小〜中規模帯がもっともコスト構造上不利になりやすい、という逆U字に近い形になり得ます。ただし、これはコストの効き方だけを見た仮説的な整理であり、実際には取得価格・FIT単価・立地の日射量・出力抑制の影響の方が価値への効きが大きい場合も多くあります。
中古を見るときの視点
規模だけで「低圧が得」「高圧が得」と単純化するのは早計です。表面利回りが近い2物件でも、保安管理・O&M・キュービクル保守といった固定費的コストの有無と大きさを確認すると、実質利回りの見え方が変わることがあります。各設備の推定価値ページでは、こうした運営コストの内訳を含めた推定純収益(NOI)を開示しています。
※本ページのコスト構造・試算イメージは一般的な制度・実務の傾向に基づく仮定であり、個別設備の実際のコスト・利回りを保証するものではありません。正確な費用は電気保安法人・O&M事業者にご確認ください。
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