中古太陽光を検討する際、過積載率と表面利回りの関係は定番の話です。サンムーブの39万件データでも、過積載1.5倍を超えると表面利回りが一段下がることが見えています。では、実際の手取りを反映した推定純収益(NOI)ベースで見ると、この分岐点はどう読めるのか——サンムーブの収益還元バリュエーション(DCFモデル)を使って再検証します。
表面利回りとNOIの違いを押さえる
推定純収益(NOI)は、想定売電収入からO&M・土地固定資産税・損害保険・償却資産税・パワコン更新引当・出力抑制の見込みをすべて控除した「手取り」です。表面利回りはこれらを無視して「年間売電÷取得価額」の単純計算ですから、実際の投資判断には不十分な場合があります。
特に過積載が高い設備は、パネルコストが増えて取得価額(分母)が膨らむ一方で、ピークカット(パワコン超過分は発電しない)で実発電(分子)の伸びしろが限定され、さらにO&Mや償却資産税などのランニングコストも増える傾向があります。ここが「表面利回りだけ見える崖」と「実際のNOIの崖」にズレが生じるポイントです。
NOIベースで見た過積載の効率曲線
サンムーブの推定価値モデルで、典型的な低圧太陽光(50〜100kW)について、過積載率別にNOI(年間)を計算してみた例です(設備年度FY2017・兵庫県を想定・推定値):
- 過積載 1.0倍(パネル=パワコン):年間NOI 約80万円
- 過積載 1.3倍:年間NOI 約88万円(+8万円/年・+10%)
- 過積載 1.5倍:年間NOI 約91万円(+3万円/年・+3%)
- 過積載 2.0倍:年間NOI 約90万円(−1万円/年・−1%)
1.3倍まではNOIが伸びていますが、1.5倍を超えるとその伸びが鈍化し、2.0倍ではむしろ減る——ここが実際の手取りで見た分岐点です。表面利回りの「崖」と同じ位置に、NOIの効率曲線の「ひざ折れ」が現れるのです。
なぜ1.5倍で頭打ちになるのか
理由は複合です:
- ピークカット:パネルを増やしてもパワコン容量を超えた発電は失われます。実発電量の増加は逓減します
- パネルコストの増加:取得価額に占めるパネルコスト比が高まり、年間の減価償却・償却資産税が増えます
- O&M単価の固定部分:O&Mは容量に比例しますが、保守点検の固定費(年1回の一般診断など)も含まれるため、小規模設備ほどパネルkWあたりの負担が相対的に増えます
- 出力抑制の相対的影響:抑制額は発電量に連動するため、ピークカット領域の発電が減ると、その部分の抑制リスクも減る一方で、ピークカット以外の時間帯の抑制は固定的に効きます
中古を選ぶときの視点
「この設備は過積載が高いから表面利回りが低めに見えるけど、実は効率がいいのでは?」という仮説をお持ちかもしれません。データで見ると、その期待は1.3倍あたりまでの範囲では当たりますが、それを超えるとNOIの伸びは限定的です。
各設備の推定価値ページには、過積載率と推定NOIの両方を明記しています。「表面利回りはいくらか」だけでなく、「実際の年間手取り(NOI)から割り引いた推定価値がいくらか」を見ることで、より投資判断の精度が高まります。数値は公表データと当社の統計モデルに基づく推定であり、個別の設備状態・契約内容により実績は変わります。
※本ページの数値は公表データに基づく統計的推定で、実際の取引価格や実績を保証するものではありません。
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