以前の回では「新規認定」280件と「運転開始」322件の月次ギャップを取り上げました。同じ月次差分には、逆方向の動き——認定そのものがなくなる「抹消・失効」もあります。今回はこの「抹消・失効」と「新規認定」を並べ、市場に入ってくる件数と出ていく件数の非対称性を見ていきます。
実数:新規認定280件に対し、抹消・失効は2,070件
直近の月次差分(2026年5月→6月)で見ると、内訳は次の通りです。
- 抹消・失効:2,070件
- 新規認定:280件
- 運転開始:322件
- 所有者移転:536件
- 代表者交代:1,080件
抹消・失効の件数を新規認定の件数で割ると、約7.4倍です。単月の差分だけを見れば、新たにFIT認定を得て市場に加わる設備よりも、認定を失って市場から抜ける設備の方が圧倒的に多いことになります。全国の認定設備・約39.0万件に対しては、抹消・失効は月間で約0.53%にあたります。
「抹消・失効」が意味すること・意味しないこと
ここで注意が必要なのは、「抹消・失効」という区分には性格の異なる2種類のケースが混在しうる点です。ひとつは、実際に稼働していた発電所が寿命や事業終了により廃止されるケース。もうひとつは、認定は取得したものの着工・運転開始に至らないまま失効するケース(未稼働案件の整理)です。本データではこの2つを区別できないため、2,070件という数字をそのまま「稼働をやめた発電所が2,070件」と読むことはできません。以前紹介した「認定はあるが稼働していない」設備・4,038件のような未稼働案件の整理が、抹消・失効の一定割合を占めている可能性があります。
新規認定・運転開始との比較で見えること
新規認定280件・運転開始322件という「入ってくる」側の規模に対し、抹消・失効2,070件という「出ていく」側の規模は一桁近く大きくなっています。制度開始から10年以上が経過し、FIT満了を迎える設備が増え始めている時期であることに加え、未稼働のまま整理される案件も一定数含まれると考えられ、単純に「発電所が減っている」と結論づけることはできません。ただし、認定情報という公表データの上では、少なくとも「新規に増える件数」よりも「認定が消える件数」の方が明確に多いという非対称性が、実数として確認できます。
この数字をどう読むか
本集計は資源エネルギー庁「事業計画認定情報」の月次差分に基づく実数の集計であり、抹消・失効の内訳(稼働終了か未稼働整理か)や個々の理由までは公表データから特定できません。また特定の設備・所有者・業者の状況を示すものではなく、匿名の集計値です。中古太陽光の売買を検討する際は、市場全体でこうした入れ替わりが継続的に起きていることを前提に、ご自身の設備がどの段階にあるかを確認することが出発点になります。
※本ページの件数は資源エネルギー庁「事業計画認定情報」の月次差分(2026年5月→6月)に基づく実数です。査定額・収益予測は公表データに基づく推定値であり、実際の取引価格を保証するものではありません。
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