これまで認定年度別の件数推移や認定単価の下落ペースを見てきましたが、同じ年度別データを「1件あたりの平均出力(kW)」で見ると、また違う顔が見えてきます。件数や単価だけでなく、認定年度ごとに案件そのものの規模がどう変わってきたのかを、公表データの実数で確認します。
2012→2019年度:285kWから62.7kWへ、一貫した「小型化」
太陽光FIT認定設備・約38.3万件を認定年度別に、合計出力(kW)÷件数で「1件あたり平均出力」を算出すると、制度開始から2019年度までは次のように推移します(サンムーブ集計)。
- 2012年度(単価40円・制度開始年度):285.3kW(約4.8万件)
- 2013年度(単価36円):169.2kW(約12.3万件)
- 2014年度(単価32円):139.9kW(約5.7万件)
- 2016年度(単価24円):104.0kW(約3.2万件)
- 2018年度(単価18円):77.8kW(約5.4万件)
- 2019年度(単価14円):62.7kW(約2.4万件)
2019年度の平均出力(62.7kW)は、2012年度(285.3kW)のおよそ22%まで縮小しています。制度開始直後はメガソーラー級の大型案件が主流だった一方、年度を追うごとに1件あたりの規模は一貫して小さくなり、低圧区分(10〜50kW)の平均42.5kWに近い水準まで寄っていったことが分かります。
2020年度以降:反転して大型化、2025年度は570kW台に
ところが2020年度以降、この傾向は反転します。
- 2020年度(単価12.5円):178.3kW(1,862件)
- 2022年度(単価10.6円):223.1kW(2,322件)
- 2024年度(単価10.0円):471.7kW(1,136件)
- 2025年度(単価8.8円):570.3kW(1,613件)
2019年度を底に、平均出力は年度ごとに右肩上がりで拡大し、2025年度は2019年度の約9倍の水準です。認定単価は下がり続けているにもかかわらず、1件あたりの規模はむしろ大きくなっているという、単価の推移だけを見ていると気づきにくい変化です。
直近2026年度は2,004kW——ただしサンプルは191件のみ
データが反映されている2026年度(2026年6月時点で191件)に限ると、平均出力は2,004.5kWとさらに跳ね上がります。ただし以前の回で触れた通り、2020年度以降は年間の認定件数自体が1,000〜2,000件台まで減っており、2026年度は年度途中の191件という特に少ないサンプルです。少数の大規模案件が平均を大きく押し上げている可能性が高く、この数字だけをもって「新規案件の主流が大型化した」と結論づけることはできません。
この数字が示すこと・示さないこと
ここでの平均出力は、各年度の合計出力÷件数による単純平均であり、年度内の分布(中央値やばらつき)までは示していません。2012〜2019年度の小型化傾向は、年間数万件規模の件数に裏付けられた傾向といえますが、2020年度以降、特に直近年度の拡大傾向は、件数そのものが少ないなかでの平均値の動きである点に注意が必要です。認定単価の下落ペースと合わせて見ることで、「単価は下がっているが、案件規模は縮小し続けているわけではない」という、より立体的な市場の姿が見えてきます。
※本ページの年度別件数・出力の数値は2026年6月時点の経済産業省 資源エネルギー庁「事業計画認定情報」(太陽光)の集計に基づく実数です。査定額・収益予測は公表データに基づく推定値であり、実際の取引価格を保証するものではありません。
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