これまで認定年度別や出力区分別の「1件あたり平均出力」を見てきましたが、今回は同じ切り口を電源種別(太陽光・陸上風力・水力・バイオマス・地熱)で並べてみます。以前の回で電源種別ごとの市場規模(件数・出力の合計)を取り上げましたが、「1件あたり」に直すと、電源ごとの規模構造の違いがより鮮明になります。
実数:太陽光152.1kWに対し、バイオマスは84倍、陸上風力は29倍
全国のFIT認定設備・約39.0万件を電源種別に、合計出力(kW)÷件数で「1件あたり平均出力」を算出すると、主要な電源では次のようになります(サンムーブ集計・リプレース区分を除く)。
- 太陽光:152.1kW(約38.3万件)
- 水力:1,451.3kW(1,307件・太陽光比 約9.5倍)
- 地熱:1,658.8kW(100件・太陽光比 約10.9倍)
- 陸上風力:4,402.3kW(3,683件・太陽光比 約28.9倍)
- バイオマス:12,761.4kW(1,177件・太陽光比 約83.9倍)
件数で見ると太陽光(約38.3万件)が全体の98%以上を占め圧倒的多数派ですが、1件あたりの規模で見ると立場は逆転し、バイオマスは太陽光の約84倍、陸上風力でも約29倍の平均出力になります。
なぜこれほど規模の差が出るのか
この差は、電源ごとの発電方式そのものに起因します。太陽光は住宅の屋根や小規模な野立て用地でも設置でき、10〜50kW程度の低圧案件が全体件数の大半を占めるため、平均が小さく抑えられます。一方でバイオマスは燃料の調達・貯蔵設備や発電機の性質上、一定規模以上でないと事業として成立しにくく、陸上風力も1基あたりの出力が数千kW規模になる設備が主流です。同じ「FIT認定設備1件」でも、電源によって想定されている案件の大きさが根本的に異なるということが、この倍率の差に表れています。
水力・地熱は太陽光の約10倍——中間的な位置づけ
水力(1,451.3kW・約9.5倍)と地熱(1,658.8kW・約10.9倍)は、太陽光と風力・バイオマスのちょうど中間に位置します。水力は既存の農業用水路等を活用した小規模案件から大規模なダム式まで幅が広く、地熱はそもそも件数自体が100件と少ないため、平均値の背後にある案件ごとのばらつきは太陽光より大きいと考えられます。
洋上風力は17.3万kW——ただしサンプルはわずか21件
参考値として、洋上風力は平均17万3,343kWと突出した数値になりますが、全国でわずか21件という極めて少ないサンプルによる平均です。数件の大規模プロジェクトが平均を押し上げている可能性が高く、この数字をもって「洋上風力の標準的な規模」と一般化することはできません。同様に設備更新型の「リプレース」区分も件数が少なく、本集計では主要5電源(太陽光・陸上風力・水力・バイオマス・地熱)に絞って比較しています。
この数字が示すこと・示さないこと
ここでの平均出力は電源種別ごとの合計出力÷件数による単純平均であり、電源内の分布(中央値やばらつき)までは示していません。また本集計は全国の認定設備を匿名・集計した数値であり、特定の設備・所有者・業者の状況を示すものではありません。件数ベースでは太陽光が市場の大半を占める一方、1件あたりの規模では電源によって一桁〜二桁近い差があるという構造は、中古再エネ市場を電源横断で見る際の前提として押さえておく価値があります。
※本ページの電源種別・件数・出力の数値は2026年6月時点の経済産業省 資源エネルギー庁「事業計画認定情報」の集計に基づく実数です。査定額・収益予測は公表データに基づく推定値であり、実際の取引価格を保証するものではありません。
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