中古の太陽光発電所を見比べていると、「調達単価(売電単価)」の欄に同じ数字が何度も出てくることに気づきます。実はこれは偶然ではありません。サンムーブが単価を算出している太陽光の認定設備・約38.3万件を集計すると、実際に存在する単価はわずか15種類しかないのです。今回は、この単価の「分布」から市場の構造を読み解きます。
単価は「連続的な数字」ではなく「階段」
FITの調達単価は、個々の交渉で決まるものではなく、認定を受けた年度と出力区分(10kW未満/10〜50kW未満/50kW以上)の組み合わせだけで機械的に決まります。たとえば同じ2013年度認定でも10kW未満は38円、10〜50kW未満と50kW以上はどちらも36円、というように、年度が変わるたびに単価が一段ずつ切り下がる「階段」になっています。だからこそ、全国38万件超という母数の割には、単価の種類が15種類しかないのです。
市場の8割は、上位5つの単価に集中している
単価ごとの件数を多い順に並べると、次のようになります(サンムーブ集計)。
- 36円/kWh(主に2013年度認定・10kW以上):約12.3万件(全体の約32%)
- 32円/kWh(主に2014年度認定・10kW以上):約5.7万件(約15%)
- 18円/kWh(主に2018年度認定・10kW以上):約5.4万件(約14%)
- 40円/kWh(2012年度認定・全区分):約4.8万件(約12%)
- 24円/kWh(主に2016年度認定・10kW以上):約3.2万件(約8%)
この上位5つの単価だけで、全体の8割強を占めます。特に36円(2013年度)が突出して多く、いわゆる「FITバブル」期に認定が集中したことが、単価の分布にもそのまま表れています。逆に、直近の2020年度以降の単価(8.5円〜13円)は、件数としてはごく少数派です。
同じ単価でも、査定額が違うのはなぜか
ここで気をつけたいのは、「単価が同じ=価値が同じ」ではないという点です。同じ36円の設備を2つ並べても、査定額(推定)は大きく異なり得ます。理由は次のような、単価以外の変数が査定額を左右するためです。
- 所在地の日射条件——都道府県ごとの発電量係数が違うため、同じkWでも年間発電量が変わります。
- 過積載率——パネルとパワコンの比率によってピークカットの影響が変わります。
- FIT残存年数——同じ認定年度でも運転開始日や認定日の違いで、残り何年売電できるかが変わります。
- 経年劣化・O&Mコスト・保険料・償却資産税——設備規模や経過年数によって差が出ます(→査定額の計算方法)。
つまり「単価」は数ある変数の1つに過ぎず、しかも38万件のうち大半が上位5種類のどれかに当てはまるという、ほとんど共通の前提です。中古設備を比べるときに本当に差がつくのは、単価そのものよりも、この単価以外の部分だということになります。
見るときのヒント
物件を探すときは、単価の高さだけで「お得」「割高」と判断せず、同じ単価帯(=同じ認定年度・出力区分)の設備同士を比較するのが実態に近い見方です。同じ単価帯の中で査定額・利回りに差がある場合、その差はほぼ確実に立地・規模・状態といった単価以外の要因から来ています。サンムーブの各設備詳細ページでは、単価とあわせてこれらの前提を開示しています。
※本ページの単価・件数は資源エネルギー庁が公表する調達価格(税抜)に基づく集計値(データ反映:2026年6月時点)であり、区分の境界付近など一部の設備では実際の適用単価と数円のズレが生じる場合があります。査定額・利回りは公表データに基づく推定値であり、実際の取引価格を保証するものではありません。
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